2008年5月29日木曜日

逆行する日本1 <安心>


安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書) 」という新書を読みました。著者の山岸俊男氏は北海道大学の先生ですから、学生向けに社会心理学を解説した本なのでしょうか、ちょっと回りくどく感じる部分もありますが、大変参考になりました。

著者によると、”安心社会”というのはこれまでの日本社会を指しており、社会構造と人間関係による安心が一定のレベル以上に担保されていた社会を指しています。
一方の”信頼社会”というのは、いったん他人を信頼することで一歩踏み出すことを指しています。
著者はこれらの言葉を説明するのに、「はじめに」の部分で戯画的に説明しています。

山奥の生まれ育った村に住む農民にとって、この人間を信頼してよいかどうか、などは考えるまでもないことです。しかしこの農民が江戸に出てくると、何もかもがわからないことだらけですから、誰のアドバイスを聞けばいいのかわからなくなります。そこで、この人間を信頼してよいかどうか、を考えざるを得なくなるというわけです。

著者によると、現在の日本(上梓された1999年時点)は、のどかな農村社会から江戸に出てきた農民と同じような状況にあり、”安心”がコミットされていない社会に移行している過程にある、ということです。
この新書を読んでいて、常に思い出されたことは、英語のレッスンを通じて学んだ日本社会の閉鎖的な人間関係と構造です。vertical relationship、hierarchy と表現されるタテの人間関係がいかに隅々まで行き渡り、これらが人間関係のセーフティネット化していること。ウソをつく人間は社会から抹殺されることを表したおとぎばなしの数々。英語のレッスンでしたが、改めて日本人を分析する機会があった私にとって、”安心社会”が営々とした歴史の積み重ねから構築されており、これが日本文化の根源であるとともに、海外から見た場合には高いハードルになっていることを理解する結果となりました。

この本には数々の示唆に富む事例が紹介されていますが、”安心社会”の住人である日本人のほうが、”コミットメント(生きていくうえでの社会規範のようなもの)”がなくなると、途端に独善的な判断を下すという実験が紹介されています。実際の実験ではお金が介在するので、日本人は数学や確率論に弱いとも言えるのですが、目の前に見える確実に手に入れられるお金を得ようとするようです。相手にいったん預ければ、グループ全員がそれよりも多い金額を得られるにもかかわらず、です。

「あれ、この話どこかで読んだような、聞いたような?」という方もおられることでしょう。ドラマ化されたコミック「LIAR GAME (1) (ヤングジャンプ・コミックス) の中で、ナオがこんなことをみんなに説明するシーンがあります。

「ライアーゲームは、自分だけが儲けたい、と考えなければ誰も損をしないゲームなんです」

LIAR GAME (1) (ヤングジャンプ・コミックス) 」が描いたのは、まさに”コミットメント”が失われたときに起こる、日本人の「ひとを見たら泥棒と思え」的行動なのではないかと思います。

もっともこのコミックを読んで、かなり数学に強い方が描いておられるな、とは思いましたが。

”安心社会”の崩壊は、農村の都市化はもちろんのこと(イオンが田んぼのど真ん中にどーんとできる)、インターネットの普及による情報のフラット化がもたらしたものでしょう。
しかし今、官僚やノスタルジーに浸る政治家は、コミットメント関係を修復して”安心社会”を取り戻そうとやっきになっています。
このように書くと良いことのように思えますが、コミットメントの裏には「機会費用(Social cost)」が生まれるのだそうです。
会社でもよくある話ですが、経費清算のルールが厳しくなる背景には、ひとりかふたりの経費清算に不正が発覚するという事実があります。一度そういう不正を経験した担当者は、不正を行わないようにルールを厳格化し、面倒な手続きを増やします。
そこには「信用できない」という言葉が介在する不信感があります。ルールの厳格化によりもたらされるコストの増大は、この際無視されます。つまり、コミットメント関係には不信がつきもののようで、これにより機会費用が増大するというのです。

逆行する日本については、思いつくままに今後も書いていきたいと思います。

2008年5月28日水曜日

Office Live が動かなかったですね

昨日、早朝には快適に動いていた Office Live ですが、昼過ぎにアクセスしたらトップまではログインできるものの、ビジネス系のツールには全くアクセスできませんでした。
先ほどアクセスしたら、また快適に動いていたので、やっぱりアクセスが集中したから動かなかったんでしょうか??
もしそうだとしたら、ビジネスツールとしては不合格ですよね。ビジネスアワーにビジネスツールが使えないなんて。
しばらくして快適に動くようになるまで、Office Live を使ってグループワークすることはあきらめるしかないようです。それまでは Google Groups にがんばっていただきましょう。

ちなみに Small Business で作ったサイトを早速訪問してくださった皆さんがいたようです。
ありがとうございます。

2008年5月27日火曜日

WebサイトをAppsからSmall Businessに移動!

先ほど3時間くらいで Web サイトを移動するようにしました。
Apps から Small Business へのお引越しです。
そのうち変りますので、お楽しみに。

Microsoft Office Live Small Business

昨日公開された Microsoft Office Live に早速ログインしてみました。
せっかくなので SOHO 向けの Microsoft Office Live Small Business にアカウントを作りました。

機能的には Google が提供するサービスを1ヶ所にまとめたイメージです。
Google Apps 、Calender 、Groups 、Gmail 等がばらばらにログインでき、Google 全体として統合されているのに対して、1回サインインすればそこで全部OK、という状態です。
Web サイトの作成については、Apps よりもテンプレートが良くできているようなので、当社のサイトが移転するかもしれません。
また、ビジネスツールとしての機能が満載で、得意客のリストや営業案件の管理、プロジェクトマネージャ機能も揃っているほか、なんとタイムカードまでついています。とにかく SOHO がほしいと思うようなものが揃っています。施設予約の機能もありますし、グループワークがしやすいような工夫があります。

まだ実際に使っていないので、なんともまだ評価できる段階にありませんが、とりあえず見たところではMS 製品に慣れた日本人には使いやすいツールという印象です。Outlook との連携がスムーズである点、各種パッケージソフトで培ったナレッジが生かされている点、レイジーな日本人にはこれこそ待っていたアプリケーションだ!というところでしょうか。

最大5人まで利用できるので、とりあえずテスト利用してみます。

2008年5月26日月曜日

20年来の友


20年来の友、というか、学生時代のバイト先での後輩というか、ことあるごとに相談を受け、お手伝いもしてきた友人が、最近脚光を浴びております。
ケータイ小説活字革命論―新世代へのマーケティング術 (角川SSC新書 37) 」という新書をこのたび上梓しまして、今週30日の深夜、TBSの「R30」という番組に出演します。

私はまだスティグリッツ教授の本にかまけておりまして、彼の新書を読んでいないのですが、この本の前に書いた、ケータイ小説家になるための心構えのような内容の「ケータイ小説家になる魔法の方法」は、まだ大人の間でケータイ小説が認知されるずっと前に読まされました。
ついでに日経産業のコラムに紹介したりして、ケータイ小説認知を高めるためにお手伝いしてまいりました。

昨年彼は、ケータイ小説とであった魔法のiらんど社を退社し、フリーとなりました。その直後にゲストスピーカーとして大学で講義をしてもらいました。学生にとってケータイ小説は非常に身近な存在で、彼のトークに静かに耳を傾けておりました。
実は今年もゲストスピーカーとして来校してもらいます。
今回はさらにパワーアップしたトークとなることを期待しています。

最後まで彼の名前を書きませんでしたが、番組と本で確認してください。

2008年5月24日土曜日

見学に来た高校生

常磐大学では、進学を控えた高校生を対象に学内と授業の見学を毎年行っています。大抵は5月下旬頃で、講師にはあらかじめ授業時間の見学を許可するかどうかのお伺いがあります。断る理由もないので、毎年高校生が来ると、授業の内容とその目的を簡単に説明します。実習形式の授業では、学生に説明してもらうこともあります。

今年は短大のほうも担当しているためか、大量の高校生が見学にやってきました。多分40名以上の高校生を見たと思います。短大ではマーケティング論、4大ではサービス産業論だったので、どちらもグループワークの最中で、講義の様子を見てもらうことはできませんでしたが、その分高校生の皆さんにいつも以上に授業の説明ができたと思います。

数年後に、そのときの高校生と出会えることを楽しみにしています。

中間発表まで1週間

昨日は大学の日。
サービス産業論の中間発表まで残すところ1週間です。
出来はどうか、今週はずっと心配だったのですが、5時間つきあって何とか形になりそうです。
あとはサポートメンバーのリードで間に合わせてもらいましょう。結構面白いプランが出てきているので、今から最終プレゼンが楽しみです。

ちなみに中間発表には、インターンシップのお受入先企業のご担当者様が多数いらっしゃいます。
私が担当するインターンシップでは、サービス産業論を履修した学生が対象なので、中間発表のようなイベント時にはご参加いただけるようにお声をかけています。
なにより、どんな学生がいるのか、どんな内容の授業をおこなっているのか、をご確認いただける絶好の機会ですし、プレゼン終了後の懇親会で学生の品定めもしていただけます。
学生にとっても、企業の担当者から具体的に会社説明をしてもらえることになります。インターンシップとしてお世話になる学生にも選択の権利がありますから、懇親会を通じてお受け入れ先の企業の状況を確認してもらいたいと思っています。

2008年5月22日木曜日

インターネット広告が変えたこと

広告産業論の講義が、従来のマスメディアからインターネットに先週から移りました。
最近の学生は携帯電話でインターネットを利用するほうが多いので、パソコンとインターネットの仕組を解説する必要があったりします。たとえばパケット通信の説明とか、インターネットの世界では当り前のことを知らないので、講義の中では「情報通信白書 for Kids」をよく利用します。
ちなみに、各省庁のサイトには、こういう子供の学習用と思われるサイトや機能が付属しており、大人でも十分に楽しめます。財務省では予算を作るゲームがありますし、総務省では情報通信回りの歴史等を含め解説するメディア館というものもあります。

さて、インターネットが広告に与えた影響は大きく、特に Google の存在ははずせません。従来メディアの広告が、たとえば不動産デベロッパーによる開発と販売だとすると、ネット広告、中でも検索連動型の広告は、何かを思い出したいときに耳元でささやいてくれる天使(または悪魔?)みたいなものです。
このあたりについては、「広告会社は変われるか―マスメディア依存体質からの脱却シナリオ」を読んでいただくともっとわかると思います。

インターネットの仕組を知らない学生を相手に、最も新しい広告について講義をするため、毎年内容が変わります。特に事例について解説する場合には、できるだけ最新の情報を出せるようにと考えています。
しかしその根本にあり最もいいたい事は、
1.インターネット広告によって消費者の分析、特にターゲットセグメント機能が進化したことと
2.広告の”売る”機能が強化したこと
3.SNSによって消費者の行動を裏付ける潜在意識まで分析が可能となったこと
等になります。
いずれもマスメディアにはできなかった、実現しなかった機能であり役割です。

インターネット時代では個人の情報は丸裸にされており、だからこそ便利になってきている側面があります。この点は学生には理解しにくいようですが、mixi で就職活動に関する広告が表示されることの裏側でどのような仕組が動いているのかを説明すると、少しは納得するようです。

広告はあくまでも”Buy Me”が命。
インターネット時代になって、この広告の使命がより鮮明になっただけ、と私は考えています。

2008年5月21日水曜日

Google Maps の新機能

以前から Panoramio に写真を投稿していたので、なんとなく見過ごしていた Google Maps の新機能に、写真が表示できるというものがあります。
この機能を開発したのが日本人、という記事を昨日読んだので、ふーん、なるほど、と思い、このブログを書いています。
ユーザーが撮った写真をGoogle Mapsに表示,開発は「日本チーム」が担当

まず、”日本人が開発”というのがネタになる程度に Google のことが評価されている、という点が興味深いです。 まだまだ Google が外国の会社なんだ、という印象を多くの日本人が抱いているとともに、Google への畏敬、その中で日本人ががんばったことへの同国人の誇り、といったものがこの記事には含まれているように思います。これが現在の日本人の Google に対する本音かもしれません。

このような日本人の気持ちには一因があると思います。
Googleの機能を使い倒すと決意してから様々なものを試していますが、基本的に日本人の一般的なITリテラシレベルでは、使いこなすのは結構難しい、という印象を私は持っています。
まず言語。ベースは英語ですし、ローカライズされていてもヘルプは英語、という機能が少なくありません。結局のところ英語力が多少ないと、複雑なことをやろうと思うと追いつかない、という現実があります。
次に、提供されている機能を追加しようとすると、結局 HTML レベルで追記するなどの手間が発生する場合があります。知識があればそれほどでもない程度の手間でも、全くそういう知識がない人にとっては相当に厳しいのです。

法制度含め、微にいり細をうがったサービスや商品に甘やかされた、レイジーな日本人には Google のハードルが案外高いのです。
なので、今回の、 Panoramio の写真を Maps で生かせる、というのはいかにも日本人的な発想のような気がします。 複数の機能の相乗り効果を考えるあたり、後からやってきた日本が過去に証明した歴史的成長と重なるように思います。

たとえば Picasa Webアルバムで写真を公開するときにやはり Maps に位置情報を登録する場合がありますが、これと Panoramio のサーバが異なるらしく、一方で登録した位置情報が他方で反映されないため、両方で位置情報を登録するという手間がありました。これは面倒です。
今回の新機能で、Panorami0 と Maps の相互補完ができるようになったので、多分 Picasa でも生かされるものと期待してます。
もしかするともうリリースされているかもしれませんね。

2008年5月17日土曜日

財政にもっと数学を


またぞろ増税論の政治家の活動が活発になってきました。消費税をあげないと破綻する、というのが彼らの言い分ですが、先日も紹介した高橋洋一氏の「さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白」によれば、たいした根拠のない上げ底の破綻のようです。

最近、経済学に興味を持っていまして、現在も「スティグリッツ教授の経済教室―グローバル経済のトピックスを読み解く」を読んでいる最中です。本書の原文は”Project Syndicate(プロジェクト・シンジケート)”に掲載され、週刊ダイヤモンドに掲載されたものだそうです。スティグリッツ教授は、元世界銀行のチーフエコノミストでノーベル賞経済学者という世界が認める大物です。

その先生が本書で解き明かしているのが、根拠のない通説の真実です。
最近、総裁問題で揺れた日本銀行のような中央銀行が独立性を保つ必要がある、ということが根拠がないなど、財政においてそれらしく新聞に書かれているような事柄が、ほとんどすべて根拠がない、ということを簡単に解説してあります。

翻って日本の増税論ですが、増税派(財務省)の主張の根拠を、経済学者ではないもっと外側の第三者、たとえば数学者や統計学者に分析してもらいたいです。もっと言えば、財政に関わるデータのすべてを公表してもらえれば、パソコンを駆使して解析する学生だっているかもしれません。

私自身、表現された数字の根拠やロジックが明らかで、また整合性がないと非常に気持ち悪いと思ってしまうほうなので、すっきりとした数字を見せてほしいのです。その上で増税が必要だと納得すれば、文句は全くありません。

2008年5月16日金曜日

中間発表まで2週間

サービス産業論の中間発表まで2週間になりました。
中間発表は、課題をいただいている企業様に方向性を確認するために行いますが、実際のところは学生に本気を出してもらうための一種のマイルストンのようなものです。

中間発表はまた、学生のプレゼンをメタメタにする機会でもあります。論理破綻がないかを特にチェックするのですが、利用しているデータの不整合なども含め、企業に対するプレゼンで必要と思われるところはすべて指摘します。これにより、最終プレゼンに向けてきっちりとした資料が出来上がってきます、例年は。
とはいえ、これで学生が涙し、本気モードになってくれればひと安心です。

もうひとつの中間発表の目的は、夏季セッションに行うインターンシップ前に、受入先企業の担当者に学生を見てもらうことです。
サービス産業論を履修した学生だけが対象のインターンシップなので、どんな学生がやってくるのか興味があるはず、と考え広く企業に声をかけています。
最終プレゼンも同様で、とにかくたくさんの企業、社会人に見てもらうことに努めています。

今年の学生は、中間発表にどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみです。

2008年5月15日木曜日

TPC

サービス産業論はもちろん、マーケティング論でも、学生に求めるのは TPC、すなわち Target、Positioning、Concept の3点です。中でも Target は最も重要であり、すべてはここに立ち返るということを講義の中でも、実習の中でもしつこく言い続けます。

さて、5月末に水戸京成ホテル様に中間発表を行うサービス産業論では、まだ Target がほとんど決まっていないような状態です。少なくとも先週金曜日はそうでした。中間発表まで残すところ2週間。学生たちは大丈夫なのか、とやきもきしています。

実は、私自身は今回いただいた課題に対して既にひとつの回答を持っています。それはあくまでも仮定でしかありませんが、日々読んだり聞いたりしている情報の集積結果、すなわち Information が私の中で構築されているためです。
しかし学生にはこのようなものがまだありません。乏しい情報の中から答えを見つけ出そうとします。

そこで、サポートメンバーに対してGoogleグループを通じて、知っておいたほうが良い情報や調査データを渡しています。
最近では三浦 展氏の「富裕層とは何か」というインタビュー記事を参照するように指示しました。学生でもお金持ちをターゲットにしたほうが良い、という漠然とした情報を持っています。しかしターゲットとして具体的なイメージ落とすほどの情報はありません。
三浦氏のインタビューには、富裕層として有職女性があげられており、彼女たちをターゲットとすることについて具体的な内容が示唆されています。
これを読んで学生がどのように考えるのか、今週確認してこようと思います。

2008年5月14日水曜日

手嶋屋さん

昨夜は友人の紹介で、「手嶋屋」というお会社の方とお会いしました。 SNSのエンジン「OpenPNE」というソースを公開してビジネスにしている企業です。

食事をしながらいろいろと話をしたのですが、社長の手嶋さんは人工知能を研究していたということが一番印象に残っています。今手がけているビジネスについてもその研究の延長上にある、というのもうなづけました。
またお会社の皆さんがお元気で、スイーツ部(男子部員だけらしい・・・)もあるとか。手嶋さんのお考えが「仕事は楽しくなくちゃ」なので、とことんベンチャー企業らしい印象を持ちました。

昨日はもうひとつの出来事がありました。
Googleが”Friend Connect”というサービスを発表し、概要までは公開されたことです。このサービスはWebサイトに簡単にSNS機能を追加できるというもので、手嶋屋さんにとってはライバルになりかねないもの。
Googleを使い倒すと決意した私は早速申込みしておきました。そのうちサービスが使えるようになったという連絡が届くでしょう。

SNSの運営会社が、決して経営状態が良いわけでもないのに株価に高値がついたり、買収金額が跳ね上がったりするのは、行動データベースとして優秀だという評価によるものです。先週もソフトバンクが中国の「校内網」を400億円で買収したことが話題になりましたが、SNSによる他サービスの補完が目的だったようです。
マーケティングリサーチとしても最近では、長期間にわたる、または広範囲は設問項目によってターゲットを分析するような流れができています。一時的な調査だけではターゲット分析は不十分、特に意思決定と行動については分析結果と一致しないことがあるようです。
その点、SNSにはあらゆるものがデータ化されて残っており、後はこれを様々な意思決定結果(たとえばショッピング)や行動と結びつけていくことが可能になります。

データ分析は意外な結果が出たときほど楽しくなります。
本を読んでいても「おっ!」と思うときが、こういう意外なデータを見せられたときです。最近で記憶に残っているのは、三浦 展氏の「下流社会 第2章 なぜ男は女に“負けた"のか (光文社新書) 」にあった、郵政選挙で小泉政権を支持したのはフリーターとニート、という結果でした。他も面白い分析結果満載です。

最近、大学のことを書いていないので、明日は本筋に戻します。

2008年5月13日火曜日

企業通貨マーケティング


野村総研が出した「企業通貨マーケティング―次世代「ポイント・電子マネー」活用のすすめ」をやっと読了。
そもそもこの本を読むきっかけになったのはある仕事のためでした。野村総研が3月13日に出したニュースリリース「ポイント・マイレージの2006年度発行額は6,600億円以上、2012年度は7,800億円超に」に触発され、いろいろと面白いビジネスモデルが考えられそう、ということで読み始めました。

このリリースは、航空、流通、家電量販、クレジットカード等、国内9業界の売上上位企業(ポイント・マイレージを提供している企業に限る)が2006年度に発行したポイントやマイレージなどの金額を推計したものです。金額の多さにまずは驚きますが、本書を読んでさらに驚きました。

この本が指摘している最も重要と思われることは、第8章に記された「ポイント会計の国際動向」でしょう。国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)が昨年、ポイントを含むロイヤルティプログラムの取扱いについて、一律に売上分割方式を採用することを明らかにし、2008年7月以降の会計期に摘要する予定となったことです。

従来は引当方式、つまり発行したポイントのうち費消するであろう費用とそれにかかる経費を引き当て、売上も利益も投機に計上するとされていますが、売上分割方式は、本体の商品だけではなく、ポイントもまた販売された商品であると考える立場です。よって、ポイント分の売上を、本体商品から分離した上で繰り延べることになります。
ですから、最初に示された巨額の、現在は引当方式ゆえに計上されていないであろう売上が存在するというわけです。企業にとっては恐ろしい話です。
しかも昨今、会計基準を国際標準に変更する話が出ていますので、電子マネーとともに盛り上がっているポイントプログラムに水を差す可能性があります。

また、電子マネーはプリペイドカード法によって規制されているということも本書によって初めて知りました。テレフォンカードが発行されたときに聞いた以来のプリペイドカード法です。
Edyや楽天マネーなど、ギフトとして扱えるものがある場合、こんなことができますよね。
ポイントを電子マネーに交換して、これをギフトとする、なんてことです。この場合、どこまで法的に規制されるのかわかりません。

またある商品の決裁手段として、Edyや楽天マネーのギフト機能を利用した場合、多分脱税にあたると思うのですが、こういうことにもまだ目が行っていないような気がします。
最近では経済産業省や金融庁がいろいろと検討しているようですが、自由度が高いからこそ面白いビジネスモデルが考えられるので、細々とした規制は設けて欲しくないですね。
ただし、電子マネーのギフト機能などには、株式のように一定の水準で課税するなどして薄く徴収するような仕組は必要だと思います。

2008年5月12日月曜日

英米法と大陸法

昨年末に「最近シュンペーターが注目されている」と聞いたので、「シュンペーター―孤高の経済学者 (岩波新書)」を読みはじめました。実を言うと、まだシュンペーターの経済理論を読みきっていないのですが、この本を読んで以来、気になっているというか、考えたことがあります。

そもそもシュンペーターという経済学者の名前は大学時代に知ったものの、それっきりという間柄です。なので、シュンペーターがどういう人なのか、どんな人生を送ってきたかはもちろん、彼の経済学上のポジションも全く知りませんでした。
シュンペーター―孤高の経済学者 (岩波新書)」 には、彼の生い立ちから書き起こされていて、私のようなマーケティング畑出身者には、わかりやすい内容です。彼の経歴で注目すべきは法学を修め、統計学にも明るいという点でしょう。この経歴が経済学における彼の理論にも現れているようです。

シュンペーターの生きたオーストリアは国民が本当の意味でのcitizenではなく、したがってcitizenshipも持たなかったので、法体系は大陸法でした。ドイツ・プロイセンがイギリスやフランスに対抗して国力を高めようとしていた時代であり、ちょうど日本国憲法を検討していた伊藤博文が渡欧していた時代とほぼ同時期です。
本書によると、「ウィーン知識人の心情」と題して、以下のように記されています。
”このオーストリアを理解する場合、重要なことの第一は、近代の啓蒙的政策が、絶対君主の力によって上から行われた歴史を持っていたことである。農奴解放、農民の土地所有の自由、カトリック教会からの行政や教育の自由、ユダヤ人の解放等々--それらが啓蒙絶対君主ヨーゼフⅡ世のもとで、18世紀末に行われ、それを推進したのが、先進ヨーロッパ諸国からの知的影響を受けた自由主義的官僚だったということである。”

まるで明治維新以降の日本のようです。
英語で明治維新のことを”Meiji Restoration”、つまり王政復古と表現するように、決して革命ではありません。
よって、伊藤博文はフランス法学者をたくさん抱えて憲法の制定を急いでいたにも関わらず、ドイツの大陸法を採用したのではないでしょうか。

英米法の基本であるイギリスの法体系を理解するには、イギリスの王が征服王であった点に留意する必要があると考えます。征服された貴族が王権に対して制限を加えるような契約(マグナカルタ)をしたことが始まりです。
王は時代とともにいろいろなことを考えるので、王権も時代につれて拡大しますが、これに対して柔軟に対抗できる必要があったのではないかと想像します。この辺は専門家ではないのではっきりとはわかりません。
英米法が判例に重きがあるのも、このような歴史があったためと考えます。

一方の大陸法ですが、これは日本も採用しているのでわかりやすいと思います。憲法を最高として各ジャンルにわたって法律が網羅されているというものです。
最近の憲法改正の投票を18歳以上にしたことで、従来の法律との整合性がとれない、などという議論が出てくるのも大陸法ゆえでしょう。
したがって、大陸法は時代の変遷に追いつきにくい、という特性があるのだと思います。

で、私が最近気になっていること、考えていること、です。
インターネット時代の今、大陸法の欠点がボロボロと出てきているように感じます。そもそもインターネットの始まりが英米法の国なのですから、インターネットで世界を席巻するような何かを発明することは日本では難しいのではないのか、と考えてしまいます。
また英米法は時代の変化に対して判例という形で進化していくため、法体系として腐ることがない。大陸法は陳腐化の速度も速いはずで、日本の今がその腐った法体系の時期なのではないかと感じています。

citizenとcitizenshipが英米法には欠かせません。日本人にもそういう意識を持つ人が増えてきていると思いたいです。

2008年5月10日土曜日

さらば財務省!


さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白」を読みました。
内閣参事官をつとめる高橋洋一氏による、小泉政権から安倍政権までの改革に関する詳細な解説書、と言っていいかもしれません。

数学の専門家である著者が、官僚が作る資料の嘘をわかりやすく解説してくれているため、今までわかりにくかった財政に対して親しみが持てました。

それにしても高度な数学を理解している人が論理的な体系としてまとめたほうがよい財政が、数字を理解できない人たちによって牛耳られているのかと思うとゾッとします。

また、政府の改革に深く携わった著者ならではの、役人のやり口もまた、ある種の勉強になりました。
昨年同時期に「構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌」を読んでいましたが、やはり立場が異なると視点もまた異なっていて、大変面白く読めます。
どちらも1級の史料として将来評価されるものと思います。

ちなみに本書に記された出来事を年表形式にまとめてみました。
さらば財務省!出来事年表

2008年5月1日木曜日

業務分掌規程の作り方

先ほどWebサイトのほうに「ワンポイントアドバイス」のページを追加しました。
私が自分自身で行っている方法のなかで、簡単で応用可能なものをときどき追加していこうと思います。初アドバイスは業務分掌規程の作り方、管理方法についてです。

組織変更が多い企業の場合、業務分掌規程を持たないところもありますが、やはり組織が大きくなってくると必要です。しかし変更のたびに業務分掌規程の書換えも発生しますので、規程の担当部署の者にとっては厄介な代物といえるでしょう。
そこで、業務分掌規程を作る場合に、組織変更に対応できるようなやり方を掲載しておきました。
詳しくはWebのほうをご覧ください。

大学で学生に指示を出すときも、業務分掌規程を作る時のような注意が必要です。
先週からサービス産業論ではグループワークを開始していますが、まず最初に提示したのが、「課題解決プロジェクトの進め方」という一種の手引きです。
3年前にグループワークを行ったとき以来の経験に基づく、しかし基礎的なことを簡単にまとめたものです。たとえば、メンバー間で最初に自己紹介を行う、などということから書いてあります。
というのも、3年前のマーケティング論では、最後まで互いに名前を知らないままにグループワークをしていたところがあったためです。これはカルチャーショックでした。
それ以来、グループ単位で何かをやらせるときには、必ず自己紹介を最初にするように一声欠けるようにしています。

外部的には段取り、内部的には手引き。
いずれにしても計画的に物事を進めないと、学生にも課題を下さる企業様にも迷惑がかかることになります。