2008年9月27日土曜日

過剰と破壊の経済学、ふたたび

論文の参考にならないかと、改めて池田信夫氏の「過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042) (アスキー新書 42)」を再読。
そして、驚きました。
三浦 展氏の「日本溶解論―ジェネレーションZ研究 この国の若者たち」となんだか似通った意味の文章が並びます。

三浦氏が、「『近代家父長制家族』や地域共同体、あるいは地域共同体的会社組織などの「固体」が分割・粉砕」されれば、「個人が家庭や地域共同体や会社組織という小さな社会を介してではなく、グローバル化した大きな社会に直接触れ、社会から直接影響を受けるため、社会に溶け出さざるを得なくなる」とし、「グローバリゼーションの進展は、企業の競争を激化させ、非正社員という雇用形態を増やした。会社組織に属する正社員という『固体』的な立場から解き放たれた個人は、一面では自由を得たが、他方では安定を失った。そして、安定を失った個人は、自己責任で競争し、成功することを求められるようになった」と書いているかと思えば、全く異なる視点から池田氏もまた次のように指摘しています。
あくなき利己主義と急激なイノベーションに駆り立てられるグローバル資本主義は、流動的でダイナミックな、しかし不安定で危険なシステムである。そしてムーアの法則は、情報処理の主役を大企業や官僚からユーザーに移して『民主化』し、ITで武装した個人が直接グローバルにつながる世界を実現した。それはフラット化してみんなが平等になるユートピアではなく、既存の権威や肩書が意味を失ってすべての個人が対等に競争し、情報処理能力による所得格差が拡大する孤独な世界である」。

どちらも、社会の枠組みから一歩離れたところに存在する個人は、不安定で孤独だということを示しているのだと思います。

三浦氏はジェネレーションZと自ら定義する20歳以下の若者のアンケート調査結果から、そして池田氏はムーアの法則から読み取れる将来について経済学的視点から、それぞれ同じような意味の発言を行っています。
ここから読み取れるのは、デジタルネイティブはまさしくインターネットの申し子、born digital だということでしょう。

2008年9月24日水曜日

日本溶解論


三浦 展氏の「日本溶解論―ジェネレーションZ研究 この国の若者たち」を読了。
これも参考文献として読んだのですが、相変わらずの早いテンポで、詳細な分析結果をわかりやすくまとめているので、読んでいて気持ちがいいです。

この本のサブタイトルにある”ジェネレーションZ”というのが、デジタルネイティブ世代とかぶるので読んだのですが、非常に示唆に富んだ、そして大学で感じる違和感の数々を解き明かしてくれる本です。すでに社会に出始めている世代なので、人事担当者必読。管理職研修でテキストとして採用してもいいかもしれません。

ちなみに三浦氏が説く”溶解”については、このように記されています。

見田の言う「近代家父長制家族」が「解凍」した状態の意味するところはまさに、「近代家父長制家族」や地域共同体、あるいは地域共同体的会社組織などの「固体」が分割・粉砕されて溶解した状態であろう。それらが分割・粉砕されれば個人の「表面積」が増す。つまり個人が家庭や地域共同体や会社組織という小さな社会を介してではなく、グローバル化した大きな社会に直接触れ、社会から直接影響を受けるため、社会に溶け出さざるを得なくなるのだ。個人は、自分自身が「固体」として自立して生きるというよりも、溶解されて均質な液体になり、さらには蒸発して、気体のようになって漂うばかりという状態にもなりうる。

ジェネレーションZ世代は新人類世代の子供世代に重なります。私自身も新人類のためか、共感して読むことができました。

2008年9月23日火曜日

少年時代の麻生太郎

昨日、麻生太郎氏が自民党総裁になりました。
そこで思い出したのが、今春大学を退官された70歳を超える方からうかがった話です。

現代のベンチャー企業並みの当時の広告代理店でバリバリ仕事をされていたその方は、年齢的には高度成長時代に20代、30代だったこともあるのでしょうが、偉くなることと乗り物や出張先が関係した話をされます。つまり、新幹線のグリーン席で大阪出張というのは部長以上、飛行機で出張といったら役員クラス、といったイメージです。
当時はイメージとばかり言えなかったのでしょうし、現在でも出張規程にこれらの利用について制限を設けている企業が多数を占めると思います。

で、ここからがうかがった話なのですが、その方が、飛行機で福岡出張に初めて出かけたときのことです。当時30歳そこそこだったその方いわく「いよいよ俺も飛行機で出張できるぐらい偉くなったか」と思い、意気揚々と飛行機に乗り込んだのだそうです。席は前方で、隣の席には中学生と思しき少年が着席しています。
その方は、その少年が悠然と、しかも慣れた様子で飛行機に乗っていることに興味を持たれたのでしょう、その少年に声をかけました。「ひとりで福岡まで行くの?えらいねぇ」と。
するとその少年は「毎週東京の塾に通っているんです」と応えたそうです。

今でこそ子供が一人で飛行機に乗ることが珍しいわけではありませんが、それでも塾に通うために毎週飛行機に乗っている子供は数えるくらいしかいないでしょう。
飛行機といえば、それこそ最上位に位置する乗り物だった時代のことです。

このエピソードを話した後に、その方は「あれは麻生太郎だったかもしれないね」と言いました。
確かにうなづけるところです。なにしろお坊ちゃまだそうですので。

九州北部出身の方と話をすると、麻生セメントの話がよく出ます。
若いころは政治や、日本の近現代史に全く興味がなかったので、それが吉田茂に連なる九州の財閥だということにはトンと疎かったのですが、20年くらい前にたまたま麻生セメントの関連会社の方と知り合いになる機会があり、知識を得ました。皇族ともご縁があるということで、そういう会社で働く方々にとってはやはり誇らしいことのようです。

松濤にほど近い代々木公園エリアに住んでいたころ、麻生太郎宅の前を散歩で通ったことがあります。スイスのシャレー風の赤い屋根が印象的でした。

こう書いていくと、麻生太郎が身近な存在に思えてきました。
彼の経済政策とかいうものには共感しませんが。

2008年9月22日月曜日

のぼうの城


のぼうの城」 を読了。
私にとって、豊臣秀吉とか石田三成が食傷気味だったので、導入部はちょっとつらかったですが、小さな城で応戦するに至るまでの様子と、戦い方のシーンは、非常にテンポがあり、楽しめました。

著者は脚本家のようで、心理劇でも戦場シーンでも、臨場感のある生き生きとした様子が思い浮かびます。
また行田あたりの当時の様子が思い浮かび、史実としても記憶に残るものです。

とはいえ、今年最も売れている小説、と言われても「はて、いったいどの辺が??」というのが正直な印象です。
映像化すれば面白いとは思いますが、映像化するために話題を作って小説を売ってるのかも・・・、などと邪推してしまいます。
「王様のブランチ」で大々的に紹介していたのが最初だと思うので、TBSあたりでドラマ化されるのかもしれません。

いずれにせよ、映像化されたら絶対に観る作品ではありました。

2008年9月21日日曜日

ケータイ小説 活字革命論


ケータイ小説活字革命論―新世代へのマーケティング術 (角川SSC新書 37)」、遅ればせながらやっと目を通しました。伊東さん、ごめん! 論文の執筆がなければ、もっと後回しになっていたと思います。

論文ではデジタルネイティブについて書いているのですが、ケータイ小説というものが、デジタルネイティブ世代の特徴的なコンテンツであり、メディアだなぁ、と思い参考文献にさせていただきました。

私自身は中身を読むまでもなく、2年以上前に熱く(暑苦しく?)語る著者の生の言葉を聞いていたので、ケータイ小説の事はかなり理解しているものと自負しておりますが、本書はかなり整理されているなぁ、と感じました。

本書では「新世代」としか書かれておりませんが、これはまさしく日本のデジタルネイティブを指しています。
ちなみにデジタルネイティブとは、2006年10月に米ガートナー社が発表した定義で、その後世界的に広まりました。私が調べたところでは、ハーバード・ロー・スクールとスイスの大学とで共同のプロジェクトも発足しております。http://www.digitalnative.org/

執筆中の論文にもこのあたりは盛り込んでいるのですが、デジタルネイティブの定義には諸説あります。
まずはガートナー社。彼らは1990年以降に生まれた若年層としています。現在の高校生以下ですね。パソコンだけがネットへのゲートウェイではなく、携帯電話やiPodもデバイスとして使いこなす世代だとしています。

Digital Natives Project では、もう少し細かい条件があります。
まず、「生まれながらにデジタル」であること。そして、ITを通して、情報そのものや他者への接し方にある種の属性と経験を持つ者。年齢で分けることはできないと主張しているのも特徴です。
とはいえ、おおむね25歳前後が上限のようです。

またデジタルネイティブを番組として取り上げているNHK(放送予定が9月から10月に変わりました、ザンネン!)では、ガートナー社の定義をほぼ採用しているようです。特設サイトにデジタルネイティブ度チェックがありますので、気になる方はチェックしてみてください。
ちなみに私は60%でした。これって、どういうレベルなんでしょうね。チェックした人の結果をグラフなんかで見せてくれるとうれしいな、と思いました。

この本は、伊東さんの経験したことを通してケータイ小説のことが解説してあります。そういう意味では歴史的な背景のほか、実際にどんな風に盛り上がっていったのかがよく理解できます。

そうそう、最初にゲストスピーカーとして常磐大学に来てくれたときのことも少しだけ書いてありました。この本を長いこと放っておいて本当に申し訳ないと思いました。

2008年9月20日土曜日

火の玉を見た!かも・・・

かろうじて今日ですね。18:45分前後だと思いますが、外出の用意をしていた私の眼に、明るい火の光が下に向かって落ちる映像が映りました。
結構大きい火の玉で、上空で一瞬強い光を発して燃え尽きてしまいました。我が家から見た感じなので、東の空、結構大きく見えたことから豊洲あたりか、それより西側の都心近くでしょうか。

気になったので、さきほどネットで検索してみたのですが、隕石が落ちたというニュースはなさそうです。
検索でひっかかったのは、Wikipedia の「新世紀エヴァンゲリオン > 新世紀エヴァンゲリオンの用語一覧 > セカンドインパクト」で、Google の検索結果でちょっと読める文章ではこういう詳細情報が出てこないので、瞬間的に「これは北朝鮮の失敗爆弾がWikipediaに書かれるほど有名な出来事だったのか?」などと思ってしまいました。

結局あれはなんだったんでしょう?
港区から豊洲方面(東)に見えました。明るい光だったので、他にも目にした方がいると思います。

2008年9月12日金曜日

今日から秋セメスター開始

少し早いですが、今日からまた定期的に水戸に通う生活が始まります。
私の母校は9月一杯は夏休みだったので、そういう印象があるのですが、大学も早いところは早いんですね。

秋セメスターでは、「マーケティング論」と「日本産業論」の2コマを持ちます。
マーケティング論」は講義とグループワークを行うのですが、これまでと違うのは、今年から必修になったということです。なんと80名の登録があるそうで、グループワーク危うし!と思ったのですが、結局、私のマーケティング論を履修した学生で、就職が決まっている皆さんにヘルプしてもらって、当初のやり方を通してみようと考えています。
自分がアドバイスしたり、教えたりする立場になると、より一層理解が深まるので、ヘルプの学生達にとっても良い経験ができると思います。

一方の「日本産業論」は、流通や外食産業をテーマとしているのですが、私が担当するのは今年からです。なので、まったくの白紙から始まりました。

自分の担当する科目は、すべてにおいて関係した役割を持たせているつもりなのですが、この授業を通して、課題や問題点を見つける方法論を学生に学んで欲しいと考えています。
見渡したところ、実社会で必要な情報の整理と分析手法を実践するものがなかったので、内容を変えました。テーマは「水戸のホテルビジネス」です。

水戸は、ホテル業界では有名な激戦区だそうです。時々お世話になるホテルの皆さんが口を揃えて「大変、大変」とおっしゃられるので、どこがどういうふうに大変なのか、を分析して、解決の糸口が見つけられればいいな、と思っています。
いずれにしろ、各ホテルのご協力なくしてできない授業なので、結構前からあちこちにお願いして回っています。実際に現場を見て、現場の担当者に話を聞くことは、情報収集の基本ですから。

夏季セッション「流通論」

流通論が昨日無事終了して、学生からのレポート待ちです。

初日は「幸楽苑」様の新井田社長にご講演いただきました。
社長の持論である「人生成功20年論」は、鈍重に20年間努力することで成功する、というもので、自らの夢・ヴィジョンを具体的に描き、それに向かって誰よりも努力すれば成功する、という内容でした。
非常に触発される内容で、学生はもちろんですが、私自身も考えさせらました。

昨日は「メリーチョコレート・カムパニー」様の船橋工場に見学に行きました。
毎年のことではありますが、家族的な暖かい皆様に迎えられ、物流センターの隅々まで拝見することができました。帰りにはおいしいチョコレートや焼き菓子を振る舞っていただき、学生に楽しく貴重な経験をさせていただきました。

今回は少人数の夏季セッションでしたが、学生には数多くの企業事例を見て、調べて、ディスカッションすることができました。
流通論は、毎回試行錯誤の連続です。学生にいかにして企業の経営努力を理解してもらうのか、に工夫が必要なためです。来年は今年以上の内容にできるよう、また考えます。

2008年9月9日火曜日

今日から夏季セッション

少し間が開いてしまいました。
まずはお礼から。アンケートにご協力いただきました皆様、調査に耐えうる程度にサンプル数が確保できました。ありがとうございます。プレゼントの抽選と発送は来週に予定しておりますので、今しばらくお待ちください。

さて、本日から夏季セッションという、学生お助け集中講義を行います。
30代以上の人に夏季セッションの話をすると、それって何ですか?とよく聞かれます。

最近の大学ではセメスター制を導入しているところが多いのですが、常磐大学も同じくセメスター制です。春と秋の各セメスターで、2単位が習得できる講義を選択していくわけですが、夏季セッションとはその中間に位置している選択制の講義です。ただし3日間程度で2単位が取得できるので、昨今のアルバイト学生や、単位の危ない4年生などが集まる傾向が見られます。

私が夏季セッションで担当しているのは流通論です。
流通といっても、特にサプライチェーンマネジメント(SCM)を中心に学生に解説しています。学生にとって、企業努力の賜物であるSCMは、目に見えないところで粛々と行われているだけにわかりづらいという難点があります。

そこで流通論では、企業の皆様にゲストスピーカーとしてご出講をお願いしています。より具体的なお話を通じて、雰囲気だけでも理解してもらおうという意図です。今年は、全国一律290円でラーメンを提供している幸楽苑の新井田社長にご足労いただくこととなりました。昨年からの2年越しのお願いで実を結んだものです。

また最終日には、毎年、メリーチョコレートカムパニー様の船橋工場の物流センターを拝見させていただいています。こちらの物流センターはもちろんのことですが、メリーチョコレートカムパニー様は、ITへの投資とその実績で定評のある企業です。日本のバレンタインデーの生みの親でもある原会長の取り組みは日経ITProにも連載されたほどです。

そろそろ学生が集まってくる頃です。続きはまた明日以降で。