西太后 大清帝国最後の光芒

西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)」を読了。

先月の北京出張から読み始めて、やっとマカオで読み終わりました。

本書は、中国人の奥様がいる中国研究家(?)の方による著作です。

中国に興味のある方は「蒼穹の昴(講談社文庫)」はすでにお読みだと思います。
私はとても面白く、また消えゆく帝国の中で最後の踏ん張りを見せる人々の人間模様に感動したのですが、本書はそのガイドブックともいうべき内容です。

特に興味深い指摘としては、清末の西太后のころの領土意識が現在まで引き継がれている、というものです。

本書を読むと、さほど根拠のある主張ではなさそうなのですが、死後100年を経ても西太后の名前をあちこちでみかけることから、庶民への影響力・定着力は絶大なものがあります。

また著者も指摘していますが、女性であって、女性らしい目標を持っていたこと、すなわち美や食、文化などを消費したことにより、それが現代中国においても注目される理由になっていることは、もっとも重要な点かもしれません。

もし西太后がもっと政治的な人物であったなら、共産党によって悪者に仕立て上げられていたかもしれないからです。

ちなみに、マカオの歴史的文化エリアには、清朝末期に登場し、19世紀末の清朝の軍人として知られる李鴻章をはじめとする軍閥のリーダーにちなむ遺産が多いのです。

マカオにおいて読み終わるというのも、何かの縁かもしれません。


西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)

加藤 徹 中央公論新社 2005-09
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