【マーク・カーランスキー著 山本 光伸訳】 「塩」の世界史―歴史を動かした、小さな粒


「塩」の世界史―歴史を動かした、小さな粒」読了。

常磐大学からの帰路、何か読み物を、と思って手に取った本書ですが、久々に「おもしろい!」と太鼓判が押せます。

私は、一応、西洋史を学び、歴史には詳しいレキジョでございますが、この本に記された歴史は、どれもこれも知らないことばかりでした。

たとえば、インド独立のきっかけとなったのが、インド産の塩の売買を禁じるイギリスの政策への反対運動だった、とか。

ガンジーの不服従とは、塩を作って売る権利をインド人に取り戻すことにあったのです。

たとえば150年ほど前の、アメリカ南北戦争。
塩は、人はもちろん、馬にも食べさせなければならないので、戦略物資でした。
北軍は、南軍に塩が渡らないように、ロジスティクスを分断させた、とありました。

この話には続きがあって、南軍に融資していた銀行家が、南軍から受け取った手形(江戸末期の藩札みたいなもの)が紙切れとなって破産状態になったのですが、その前後に、塩井(塩水がくみ出せる井戸みたいなもの)のある島を購入していて、塩の生産を始めました。

しかし、当時の塩は儲かる商売ではなかったのです。

偶然にも、元銀行家一家の親族が、メキシコから唐辛子を持ち帰り、これを塩水で漬け込み、乳酸発酵させました。
ここにビネガーを加えて作ったのが、誰もが知るタバスコになったのだそうです。
これで大儲けしたようですよ。


そもそも、塩は、人類にとって、食品を保存するために必要不可欠なものであり、家畜などの動物に与えなければならない必需品でした。

なので、本書の前半は、古代から近世までの、食品保存のレシピ集のごとき趣きです。

それも、塩を効率よく使用して、食品の保存性を高める方法について、様々な事例が紹介されています。

その一例が、乳酸発酵です。

魚を塩水に漬けて乳酸発酵させる。
キャベツやキュウリを塩水に漬けて乳酸発酵させる。


私の実家は、国内でも有数のキュウリの産地なので、子供の頃から「ドブ漬け」という名前の、キュウリを乳酸発酵させた漬物を食べていました。

「ドブ漬け」とは、乳酸発酵によって表面が泡立ち、白く曇っていることから名づけられたのだと思います。

作り方は簡単です。

1.キュウリをよく洗い、両端を切り落とします。

2.塩と唐辛子(鷹の爪)を加えた水をひと煮立ちさせ、冷まします。塩水の濃度は、出来上がったキュウリが少し塩辛くなるかな、という程度が良いと思います。

3.バットなどにキュウリを並べて塩水を加え、キュウリが浮き上がらないように重しをします。キュウリが水没した状態にしてください。

4.ゴミやほこりなどが入らないように、ふたをかぶせます。この時、密閉してはいけません。乳酸菌は好気性なので、発酵には空気が必要だからです。

5.冷蔵庫には入れないで、冷暗所に置きましょう。室温が30度を超えると、発酵が早まるような気がします。

6.2日~3日後から、酸味が出て食べごろになります。このタイミングで乳酸発酵していない場合、塩の濃度が高すぎると考えられます。

7.食べごろは、漬け始めから1週間前後です。酸味と旨みが十分に出てきたら、塩水から取り出して、冷蔵庫で3日ぐらいは保存しても大丈夫です。


実は私、ピロリ菌を退治してから腸内細菌が乱れに乱れておりました。
つまり、ヨーグルトなどの発酵食品を食べないと便秘になるのです。

ところが、5月の終わりぐらいから、乳酸発酵させたキュウリを食べ始めたところ、腸内細菌のバランスが戻ってきたみたいなのです。
むしろ、明治ブルガリアヨーグルトより効果絶大でした。
今では、このキュウリを2~3日食べなくても、毎朝、便通があります。


話は、だいぶ逸れましたが、本書を読んで、乳酸発酵したキュウリは、かなり昔から人間にとって大切な食糧だったということを知った次第です。
健康にも良いので、ぜひお試しください。

本書は、歴史好きの方にはぜひとも手に取っていただきたい、おススメの本です。



塩の世界史(上) - 歴史を動かした小さな粒 (中公文庫)

マーク・カーランスキー 中央公論新社 2014-05-23
売り上げランキング : 185587
by ヨメレバ