【海堂 尊】 「カレイドスコープの箱庭」




バチスタシリーズの最終話となりそうな「カレイドスコープの箱庭 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 」読了。


カレイドスコープの箱庭 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
by カエレバ


ドラマシリーズでは、「螺鈿迷宮」まで進んでいますが、この先はドラマ化されないみたいですね。
私は好きだったんですけど。

映画はいただけませんでしたが・・・。


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さて、本書は、Ai(オートプシーイメージング、死亡時画像診断)標準化国際学会を立ち上げることになったグッチーこと田口先生が、院内での病理診断に関するトラブルも同時に解決する、というストーリー。もちろん、相棒の白鳥も登場して、いつものようにグッチーを小突き回す、というお決まりの展開も読めます。

本書のなかで著者が言いたかったことは、ずばり、Aiの実用化に関する提言でしょう。

11章にある、予演会と称する飲み会のなか、これまでの登場人物がそれぞれの立場からAiの利用に関して、様々に語る、というなかで展開されています。

海堂尊作品を初めて手に取った10年前、死因不明のままに片づけられている日本の現状を、海堂作品から教えられました。
しかも、死因究明のためには必ずしも解剖が必要ではないことも知りました。
世界一の普及率を誇るCTやMRIなど、日本ではAiを実施する素地は整っている、ということも。

その後は、海堂作品からは離れてしまっていたので、ドラマで見るくらいだったわけですが、その間にこんなことになっていたのね海堂先生、というのがわかる「放言日記」が収録されていまして、こちらのほうがおもしろかった。

2010年から2015年の本書刊行までの、著者の行動が逐一書かれていて、厚生労働省との攻防など、医療関係者はもちろんのこと、タックスペイヤーたる国民は、「放言日記」の部分だけでも読まれることをおすすめします。

NHK「クローズアップ現代」での偏向報道についてもどんどん書いちゃっていて、正しいと思うことを発言する海堂尊という作家はすばらしいな、と思いました。

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