【下重 暁子】 「家族という病」




最近観るのが楽しみになってきているTBS「爆報フライデー」で知って、手に取った「家族という病 (幻冬舎新書)」読了。

著者の下重暁子さんは元NHKのアナウンサー。
記憶にあるけど、相当な昔のことですね。

本書は、著者と、その家族関係についてつづったもの。
アマゾンでは、家族部門で連続1位を獲得しているベストセラーです。

が、なぜこんなに売れているのか、はてな?と感じた読後感でした。

なので、実は読後1か月も、紹介ブログを書く気にならなかったのです。


家族という病 (幻冬舎新書)

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というのも、著者の年代(70代後半?)では、著者のような、親を否定して唯我独尊で生きる、という覚悟を持った女性は珍しいかもしれませんが、バブル世代の私たちの年代では、そんなに目新しい主張ではないと感じたからです。


それに、家族、特に親との関係は、親ではなく個人として客観的に見てしまえば、絶対的に正しいわけではなく、人間関係を深めるような相手でもないことが多い、と気がつくと思うのです。

先日紹介した本の「毒になる母」などは、まさしくその一例でしょう。


私は、大学進学のために実家を離れたときに、正しくは進学先を決めた高校2年生くらいに、親のエゴを振り切って生きることを決意したので、ひとりの人間として両親を見てきました。

そのように客観視できるようになると、父親が実家を離れての大学進学に反対する理由が、私のことがかわいいからこその反対でなのだとわかったり、いちいち嫌味に聞こえる母親の言葉が、周囲を気にしない私へのアドバイスであることだと知ったりしました。

でも、私はそういう意見にかなり強気に言い返して、親をそうとう傷つけていたと思います。


こんな私なので、違和感を覚えながら、下重さんが選んだ人生を読み進めていました。

こんなにも親の生き方を拒絶するのはなぜだろう?
適当に合わせてあげれば、親は喜ぶし、なによりの親孝行になるだろうに。


終盤に差し掛かり、少しだけわかりました。

ひとつは、下重さんが潔癖症にも近い愛情を親に持っているのだ、と。
私のような、妥協に満ちた家族愛に我慢がならないのだ、と。

そして、軍人のかっこいい父親にあこがれていた娘として、父親の戦後の没落ぶりを見ていられないほど、父親が好きだったのだろう、と感じました。

つまり強烈なファザコンと推測しました。


いっぽうの母親については、いわゆる反面教師。

結婚して母親になったら、自分もこうなってしまうかもしれない、という恐怖があったに違いありません。


本書は、そんな頑なで潔癖な著者が、お亡くなりになった家族に捧げる、本音をちらっと見せたエッセイ集です。



老いの戒め

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