【中野 信子】 「サイコパス」





NHKBSで放送されている、歴史人物ものの番組で人気が出た脳科学者・中野 信子 さんの「サイコパス」読了。

サイコパスというと、犯罪者または犯罪予備軍、または信じられないくらいの嘘つき、と認識されているかと思います。

しかし、人口比では100人にひとり、という高い確率で発生しているのです。


そんなに多いの?
という感じですよね。

そんなサイコパスについて、脳科学の立場から、どのような調査研究が世界中でおこなわれていて、どのような結論が導き出されているのかを示したのが本書です。


サイコパスが多い職業・少ない職業


サイコパス度の高い職業のベストテンはこんな感じ。

  1. 企業の最高経営責任者(いわゆるCEO)
  2. 弁護士
  3. マスコミ、報道関係
  4. セールス
  5. 外科医
  6. ジャーナリスト
  7. 警官
  8. 聖職者
  9. シェフ
  10. 公務員

1位から7位は、なんとなく理解できるんですよね。

サイコパスは危険なことに対する感知能力が低いとか、常識的な対応をしないとか、究極の選択を迫られても冷静に対処できるとか、危機に対する対応能力が高いとされています。

8位の聖職者、10位の公務員は、ちょっと驚くというか、でも公務員にもいろいろあるからな~、でも警官はなぜ別枠?と、頭のなかがグルグルします。


逆にサイコパス度の低い職業ベストテンはこんな感じです。

  1. 介護士
  2. 看護師
  3. 療法士
  4. 技術者、職人
  5. 美容師、スタイリスト
  6. 慈善活動家、ボランティア
  7. 教師
  8. アーティスト
  9. 内科医
  10. 会計士

忍耐力がありそうな職業がならびます。

サイコパスは飽きっぽいらしいので、淡々と仕事をするような職業には少ない、ということなんでしょうか。


サイコパスの特徴とは


そんなサイコパスの特徴ですが、いろいろなことがわかってきています。

まず、サイコパスの見た目は、顔のタテヨコ比では横幅の比率が高い。つまり細面ではない顔つきの男性に多いのだとか。
女性の場合は、これに当てはまりません。

心拍数が低く、ドキドキしない方はサイコパス傾向が見られます。

また、相手の眼から感情を読み取る能力に優れているので、聖職者なんかにいそうですね。

しかし共感性が低く、合理的な判断を優先するため、社会的には否定されているような行動もしてしまうのです。


著者の本業である脳科学の世界では、サイコパスにはこんな傾向が見られます。

  • 偏桃体の活動が低い(恐怖を感じにくい、自閉症は逆)
  • 前頭前皮質と偏桃体の活動が低い
  • 偏桃体と眼窩前頭皮質や内側前頭前皮質との結びつきが弱い

つまり、危険を感じたり恐怖を感じたりにしくく、良心がない、と判断できるのだそうです。

海馬は左右同じ大きさのはずですが、サイコパスの海馬は右側が左側より肥大しています。

これは、妊娠中に母親が大量のアルコールを摂取するとなりやすいと書かれていました。

さらには、脳梁の体積が普通より大きく、記憶をつかさどるといわれる海馬にも異常があります。


サイコパスは遺伝なのか


脳科学者の著者は、本書のなかで、ご自身は遺伝であるという目でみてしまう、と書いています。

わたしも、本書を読む限り、これは遺伝だと思いました。

脳のちょっとした形の違いや容積の違いは、骨格あってのものだと思うためです。

それに、サイコパスは、人口に占める比率の高さから病気とは認定しにくいかもしれませんが、やはり脳の異常として認識されるべきだとも思いました。

実際、治療法と言えるようなものはあまりなく、むしろセラピーが犯罪をより完成度の高いものにするレッスンの場となっていることもあるのだそうです。


魅力的な人物

サイコパスは、魅力的に見える人物が多いそうです。

プレゼン能力が高く、言葉巧みに人を操る意識高い系にもサイコパスが多そうです。

さらに、男性が多いサークルや学部にはサイコパス女性が多いそうで、純真可憐な女性ほど要注意なのだそうです。サークルクラッシャーと呼ばれる女性のことです。
怖いですね。

ネット時代の現在、サイコパスはあちらこちらに登場しています。

「イイね」が欲しくて、ウソを書いたり、過激な写真を投稿するような人もサイコパスの可能性があります。

10代の場合には、偏桃体と前頭前皮質の連携が弱いため、サイコパスとは言いにくいのですが、サイコパスが明らかになるのは14歳。

このころから犯罪、または犯罪的行為を繰り返すようになります。


あなたの隣にいるサイコパス


100人に一人という割合で存在するわけですから、普通に生活していても、サイコパスには出会っています。

口ばかりで仕事ができない人なんかもサイコパスの可能性があるみたいなので、確かにあちこちにいそうです。

また、本書を読んでいると、自分もサイコパスなのではないか?という疑問が湧いてきます。

サイコパス診断は難しいそうですが、本書の最後には、判定法の一例が紹介されています。

また、本書の中には、脳内物質に関する遺伝が、犯罪を引き起こしやすい人間に見られるということも書かれています。

嵐の二宮和也さん主演で映画化された、東野圭吾さんの「プラチナデータ」のネタになっていたのが、この脳内物質です。


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最新の脳科学からみたサイコパスを知ることは、現代社会を知ることにもつながります。

一読する価値のある著作です。



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