【浜口 倫太郎】「22年目の告白-私が殺人犯です-」




22年目の告白-私が殺人犯です-」読了。
6月10日に公開される映画「22年目の告白 -私が殺人犯です-」のノベライズです。


「帝一の國」を観に行ったときに見た予告編をみて、「次はこれにしよう!」と心に決めたのが「22年目の告白 -私が殺人犯です-」です。

藤原達也主演というだけでも観たいと思わせてくれますが、それよりなにより、殺人犯の告白本が出版されるところから始まるストーリーに興味を持ちました。

実はわたし、殺人犯の書いた本を大学生だったころに読んだことがあります。

それはフランスで連続猟奇殺人を起こした日本人の犯人が書いたものです。
この事件は「パリ人肉事件」として当時話題になった事件で、その犯人である佐川一政は「霧の中」という、小説仕立ての事件のあらましを書いた本を出版したからです。


この本を読んで、わたしは後悔しました。

興味本位で手に取った結果、今でも思い出すほどの嫌悪感を感じたためです。
この本を読んでから、殺人犯をはじめとする犯罪者の書いた本は、絶対に読まないと心に決めたくらいです。

そして、その決心はいまも変わっていません。


連続殺人犯が告白本を出版する理由とは?

22年目の告白-私が殺人犯です-」はノベライズ本なので、映画本編のストーリーを、出版社の担当編集者の視点から描いています。
映画の公式サイトには、この編集者の姿が登場していないので、映画のほうではそんなに重要な役割ではないのかもしれません。

その担当編集者の川北未南子は、大のイケメン好き。
人を感動させる本が作りたいという情熱を持ったアラサー女性。
しかし、出版不況の真っただ中、売れる本を作らなければ次がないことを実感していもいます。

そんな未南子のまえに、洗練されたイケメンの曾根崎雅人があらわれ、連続殺人犯の告白本を出版したいと申し出るのです。
そして、イケメン殺人犯は200万部は売りたいと言い出します。

いくらなんでも200万部なんて、と未南子は思ってしまいますが、イケメン曾根崎は怖いくらいの真剣さで主張します。
出版社社長の石黒は、売れるものなら何でも出版するような人物。
曾根崎の言葉を実現するべく、「私が殺人犯です」と題する本の出版を大々的にマスコミに取り上げてもらうような記念イベントを行うのです。

イケメン曾根崎に心を奪われている未南子は、出版してはならない本を出版しているという罪悪感が徐々に薄れ、曾根崎がなぜ200万分も売りたいと言い出しているのか、その理由にも鈍感になっていきます。


人気キャスター VS 連続殺人犯

仲村トオル演じる人気キャスターの仙堂と、殺人犯・曾根崎の報道番組での直接対決が、この映画の最初の見せ場でしょう。
報道番組の人気キャスター・仙堂は、戦場をめぐっていたジャーナリスト。
友人が目の前で殺されたことをきっかけに、日本に戻り、当の連続殺人事件の取材を機にテレビキャスターにまでなったという人物です。

その仙堂は、曾根崎をまえにして「真犯人は他にいる」と発言します。
これを聞いた曾根崎は、それまで一度も見せたことのない衝撃を受けるのです。

この直接対決の前後が伏線になっています。


そして、殺人犯は真実を語る

映画「22年目の告白 -私が殺人犯です-」は、アガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」のような作品です。

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オリエント急行殺人事件」は古典ミステリの傑作ですが、犯人が、オリエントエクスプレスに乗り合わせた乗客全員だったというものです。

映画「22年目の告白 -私が殺人犯です-」にも、少しだけですが、これに近い部分があります。
ノベライズのほうでは中盤くらいまで読まないとわからないのですが、連続殺人にはもうひとりの被害者が存在しました。
それが、事件を追っていた刑事・牧村の妹です。

この妹は最後の事件と時を同じくして失踪。
その行方は22年間わかりません。

イケメン曾根崎は真犯人なのか?
もし真犯人でなければ、なぜ克明な告白本を出版したのか?
金が目当てなのか?

そこには悲しい目的が存在しました。


映画を観る楽しみが増えた

ノベライズは、映画を観た後に読むより、映画を観る前に読んだほうが絶対にいいです。
映画「DEATH NOTE Light up the NEW world」のノベライズは、映画のあとに読んだので、伏線を確認できたことが良かったな、という記憶です。

これがノベライズの良い点ではないでしょうか。

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映画を観る前にノベライズを読んでしまうと、ストーリーがわかっているのでおもしろさが半減しそうな感じですが、どうもこの「22年目の告白 -私が殺人犯です-」では、ノベライズと映画では視点が異なるので、どちらも楽しめそうな印象です。

映画を観る前に読んでよかった!
と言いたいです。


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